台湾の自動改札機と「計次式磁卡定期票」

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 日本では随分と普及してきた感のある自動改札ですが、台湾国鉄でも2001年12月より台北周辺の駅で導入され、使用されるようになりました。

 私が確認したのはオムロン製の自動改札機。見た目は日本のとまったく変わりません。(↓)


▲これが台湾国鉄の自動改札機。

 ステッカー類、ディスプレイの表示など、やはりオムロン。言葉が中国語になっただけでデザインそのままです。いかにも日本製の色が残っており、つい韓国・ソウル地下鉄1号線の初期搬入車(日本から輸出した車輌)を思い出しました。

 余談ですが、ソウルの地下鉄1号線、国鉄の通勤電車の区間は日本の技術支援によって作られ、初期の車輌は日立など日本企業からの輸出車でした。車輌外観は営団地下鉄301系や国鉄103系1200番台と似ており、車内も同じでした。非常用ドアコックの表示などデザインは日本のまま、文字だけハングルといったもので、それに乗ったときは東京に帰ってきたような錯覚を覚えました^^;

 話を台湾に戻しましょう。自動改札(台湾では「自動驗票閘門」)は現在の日本の新型のものと同じデザインで、出発まで時間があったので、しばらく自動改札を眺めてました。利用者は多くありません。
 ディスプレイは白黒表示でした。メッセージは中国語と英語表示。日本と同じメッセージでした。警報音も同じ。そのままですね。

 自動改札機を利用できるのは、「計次式磁卡定期票」といわれる、磁気カード型回数券のみで、50回用、150回用の2種類があります。概要は下をご覧ください。

名称:計次式磁卡定期票

・無記名式、持参人1名限り使用可能
・利用時は、自動改札機の故障など特別な場合を除き、入場、出場とも自動改札を利用すること
・磁卡定期票の種類
  50回用、150回用
・運賃の計算方法:乗車区間の復興号運賃-割引率x50回or150回
・割引率:50回用…1.5割引、150回用…2割引(端数は切り上げ)
・有効期限:50回用…2ヶ月、150回用…5ヶ月
・利用可能車種:有効区間内の全種別乗車可能
・払い戻し:購入より7日以内、かつ未使用券についてのみ行う。手数料NT$30が必要

(磁卡定期票の説明は台北駅の公告を参考に作成しました。2002年3月現在)

 今回の自動改札機の導入の対象は松山~新竹間の駅で、第1段階として2001年12月22日より松山、台北、萬華、板橋4駅に設置、その後12月29日(第2段階)には樹林、桃園、中壢、新竹4駅に設置されました。毎日8万人が利用しているそうです。今後は他の区間にも拡大予定だそうです。

これまでの「定期票」と「磁卡定期票」の違い

従来の通用定期票 計次式磁卡定期票
期限1ヶ月(30日)
乗車回数の制限なし
割引率1.5割
計算方法:
復興号運賃の1.5割引の値段x22
期限2ヶ月~5ヶ月
乗車回数の制限あり
割引率1.5~2割

 カードの使用回数は1回乗車につき1回ずつ減算され、残り使用回数は自動改札機のディスプレイに表示されます。券面に表示の有効区間内のどの駅から乗っても、どの駅で降りても「乗車1回」としてカウントされます。
 日本のように、通学利用であっても学生割引はありません。(台鉄のすべての乗車券に言えますが…^^;国際学生証提示でも無理でしょうかね。)

 ちなみに、「計次式磁卡定期票」は”定期票”なのですが、実態は日本でいう回数券と似た方式です。なぜ「回数票」でないかというと、どうやら従来の「回数票」の定義が異なるからのようです。

参考までに、従来の回数票の説明↓
乗車区間が81キロ以上の場合にのみ発売可能。
各種別ごとに発売、値段は(乗車区間の運賃を1.5割引した値段 x 30)で、30枚綴り。
・有効期限は6ヶ月

(参考資料:交通部台湾鉄路管理局発行「旅客列車時刻手冊」)

 「計次(回数利用)式」になった定期票を、「回数票」にしてしまうと、従来の回数票の規則にあわないから、名称が「回数票」のままなんでしょうか?(乗車距離、乗車可能な列車種別の問題)

 ※これらの情報は2002年3月現在を基準に作成されています。


自動改札機導入状況

2000/12/22 松山、台北、萬華、板橋駅で使用開始
2000/12/29 樹林、桃園、中[土歴]、新竹駅で使用開始 8万人
2001/04/30 基隆駅で使用開始
2001/12/xx 汐止、南港駅で使用開始
2002/01/xx 鶯歌駅で新駅舎使用開始と同時に使用開始
2003/04/10 竹南、苗栗、豐原、台中、彰化、員林、田中、二水、斗六駅で使用開始
2005年現在 基隆~斗六間の各駅で使用可能。
本来は2000年9月に基隆~新竹間(10駅)で使用開始となる予定だったが、台風によって基隆、汐止、台北、中歴駅に設置してあった自動改札機が水に浸かり、故障してしまった。これにより使用開始は遅れることとなり、台鐵は同年12月に調整の関係で基隆、汐止駅をのぞく松山~新竹間で使用を開始した。
2005年10月までに西部幹線全体に普及させる予定で、導入当初は磁気式定期券のみの利用だったが、現在は自動券売機で磁気券を発行できるようにし、電車等各級列車の片道乗車券も自動改札を利用できるようになった。
(以上、2005年7月情報追加)