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台湾の駅弁「懐舊便當」

 台湾の鉄道では、日本と同様に駅弁が存在します。駅弁の存在は日本統治時代の名残でありますが、種類は日本のように多くなく、名前も「鐵路餐盒」とだけかかれ、台湾全土で数種類だけです。価格はNT$60。

 そんな変わり栄えのない顔の駅弁たちの中で特殊なのが「懐舊便當」。1970年代に高級弁当として車内販売された丸い金属製の容器に入った「排骨菜飯便當」を復刻したもの。その後、鉄道記念日には毎年その特別バージョンが販売されているとか。

 今回、ここに載せてあるのは、2003年1月に新宿の京王百貨店で開かれた「第38回元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」の特別企画で販売された2003年版の「懐舊便當」。日本での販売はこれがはじめてのこと。初回ということもあってか大好評、連日開店後10数分で売り切れていたようです。

日本で販売された「懐舊便當」の中身↓
(画像をクリックすると拡大します。 - Click picture, you can see big size.)

懐舊便當 (¥1450/現地価格:NT$300)
←弁当の入ったバッグ(上から)
▲金属製の容器
▲上の段のおかず
▲下の段はご飯
弁当と一緒に入っていたもの(木製の箸除く)
▲日本側販売元のレストランの食事券 ▲チラシ ▲ウーロン茶

 さて、1日限定400食(土休日は600個)で実演販売されたこの弁当。台湾鉄道管理局監修の弁当を日本にある台湾料理屋が習得し、実演販売にいたったもの。ここからは私が実際に買ったときの状況です。

 開店後すぐに売り切れるこの弁当を買うために、私の場合7時50分ごろには新宿に到着し、店の前に並ぶことにしました。この時間はまだ並ぶ人がおらず、3人目の到着でした。8時30分ごろには次第に人が集まりだし、列らしい列になってきます。やはり並ぶのは駅弁フリークやお目当ての駅弁を買うために熱の入る人ばかり。いろいろな話し声が飛び交う中、やはりみんなお目当ては台湾が一番人気のよう。今年は台湾の駅弁のせいで若い人が増えて、例年以上にすごいとか。

 懐舊便當を買うには、百貨店7階の会場にある売店の列に並び、整理券を貰うまでが勝負。入口に並んでる時点では買えると限らない。なにせ百貨店の入口はいくつもあるし、どこから入って、エレベータか、それともエスカレータを駆け上がるかも重要。私も事前に情報を得て会場前のエスカレータに近い入口を選択。9時30分にはシャッターが開き、いよいよみんな目の色が変わってくる。

そして10時、開店!

 走り出す客、それを抑えようとする店員。「走らないでくださーい」の声も、しまいには「走るな!!」に。7階までエスカレータを駆け上がり(一応安全に注意しながら)、7階に着くやいなや「台湾はこっちでーす!!」と案内の声。それに従って走っていると、急に前がふさがった。それが懐舊便當の列だったという状況。

 列は2列になり、整理券(樹脂製の札)をもらいます。とりあえず200食はすぐに出せるよう用意してあるようです。整理券をもらっていれば確実に買えるので、すぐに買ってもいいし後で買ってもいいでしょう。

そんなところに放送が入ります。
「台湾の懐舊便當、本日700食用意してありましたが、ただいまをもちまして終了となりました」

 時計を見ると、おぉ、10時7分!まだ7分しかたってない…しかも700食も用意してあったのに…。

 やっとの思いで手に入れた懐舊便當。蓋にはCK101蒸気機関車の絵と2003の文字が入っています。中身は上の段が揚げて煮込んだ味付け豚肉(排骨)や卵、下の段には干し海老入りの炊き込み御飯が入った二段重ね(上の画像をクリックすれば拡大表示されます)。うちに持って帰って、おいしくいただきました。期待通りの味。
本当に大人気でした。台湾の懐舊便當。